「認知症の症状としてのもの忘れ」の特徴
新しいことが覚えづらくなるのも、情報をインプットする、あるいは脳に刻む力が衰えたことの表れかもしれません。これは「加齢によるもの忘れ」という老化現象。「認知症の症状としてのもの忘れ」とは違います。
両者を見分けるための一つのチェックポイントは、一部分だけ忘れているのか、体験そのものを忘れているのかにあります。昨日のランチタイムに何を食べたんだっけ? という場合、ランチを食べた記憶はあるわけです。一時的に失念してしまっても、どこで食べたのか? 誰と食べてどんな会話を交わしたのか? と記憶をたどり、ヒントがみつかれば思い出せるかもしれません。このように体験したことの一部を忘れていても、大方が思い出せる場合は「加齢によるもの忘れ」なのです。
一方、「認知症の症状としてのもの忘れ」の場合、ランチを食べたという体験自体を忘れてしまうのが特徴的。「ランチなんか食べていない」と言い張り、ヒントがあっても思い出すことができません。ご本人には、忘れてしまったという自覚がないことさえあります。
つまり、思い出せないことがあった時に「忘れてしまった」という自覚があるかどうかが問題なのですが……。同年代の人に比べて自分は忘れっぽいのではないか? あるいは二項目目のような兆候が増えてきたなと思ったら、認知症グレーゾーンのサインかもしれません。
考えたくはないことですが、逃げると追われるのが世の習い。まずはこのことを心に刻んで、「また来たな」というサインにアンテナを張りましょう。もしこうしたことが溜まっていって不安が募るなら、「よし! 検査を受けてみよう」と意を決してください。案ずるより産むがやすしと言います。モヤモヤと悩んでいる時間は不毛です。
※本稿は、『認知症グレーゾーンは分かれ道』(興陽館)の一部を再編集したものです。
『認知症グレーゾーンは分かれ道』(著:朝田隆/興陽館)
「あれ?おかしいな」「とっさに人の名前がでてこない」
「もの忘れ」は認知症予備群。4年間の歩き方が運命を左右する。
認知症・老年医学の権威がわかりやすく「認知症グレーゾーン」(認知症の1歩手前)の歩き方を教えます。




