セカンドオピニオンに踏み出したTさんのストーリー

ここで、実際にセカンドオピニオンに勇気を持って踏み出した、私の友人であるTさんという乳がんサバイバーの事例を紹介します。(*ご本人から承諾をいただいています)

Tさんとの出会いは、以前勤めていた職場の同僚だった友人からの紹介がきっかけです。以来、時々食事を一緒にしつつ、彼女の乳がんについても相談に乗っていました。

Tさんは、当初は都内の有名病院で治療をしていたのですが、引越しに伴って、自宅から通いやすい某県内の民間病院に主治医を変更していました。

私が最初に相談に乗った時は、ちょうど検査で転移が見つかったということで、このまま同じ治療で良いのか不安を覚えられていた時でした。

Tさんが通っている病院は、乳腺専門医はいるものの、がん診療連携拠点病院ではありません。治療方針を決める主治医とのやり取りなどを聞いてみても、あまりロジカルな説明がされていないようで、彼女の不安な気持ちを汲もうという感じでもなさそうです。

Tさん自身も、今後の治療方針に不安を覚えていたため、「それなら、とにかく一度セカンドオピニオンを取った方が良いよ」と助言をしました。

仕事ではクライアントにズバズバ直言するようなタイプのTさんですが、「いや、でも、そんなことを言い出して、いいのでしょうか?」と、尻込みしています。

そこで、私は、「いやいや、セカンドオピニオンを持ち出して嫌な顔をするようであれば、その医師は主治医失格だから、やめた方が良い。そういう意味での、良いリトマス試験紙になると思うよ」と言いました。

実際に、Tさんは次の外来時に、改めて今後の治療方針を主治医に尋ねましたが、納得のいくような話はやはりありませんでした。

セカンドオピニオンを切り出すと露骨に嫌な顔をされ、「どこに行っても、同じこと言われるだけだと思うよ」と嫌味を言われ、「ここは命を預けるところではない」と確信できたとのことでした。

結局、「県内であれば、ここが良いのではないか」と、一緒に考えたセカンドオピニオン先が、Tさんの受け入れを承諾してくれたため、現在はそちらで、極めて良好な状態で治療を続けています。

(Tさんの場合、結果として主治医を変更するという結末になりましたが、本来のセカンドオピニオンは最初から転院目的で取るものではない、ということは改めて申し上げておきます。逆に言えば、別に現在の主治医を信頼していないわけではないけれど、本当にこの治療方針で良いか、モヤモヤが少し残っているという状況で、他の医師の意見を聞く、というのが本来のあり方だと思います。)

*1 「『 全国47都道府県 セカンドオピニオン実施率ランキング』発表 セカンドオピニオン実施率、全国平均は6.6%!重要性が叫ばれる一方で浸透しない現実」(スペシャリスト・ドクターズ株式会社) 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000025604.html?utm_source=chatgpt.com

*2 「セカンドオピニオン」(がん情報サービス)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/second_opinion.html

※本稿は、『後悔しないがんの病院と名医の探し方~「有名病院」「ランキング」に頼らず、最善の選択を』(大和書房)の一部を再編集したものです。

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