角田 台湾は本当に美味しいものが多いですからね。ブックフェアで台湾に招待された際、「台湾に吉野家や大戸屋はいらないのでは?」と編集者に言ったことがあるんです。

そうしたら、「日本を旅行した時に食べて、美味しかったと思った人が行くんですよ」と言われて、「あ、すみません」と謝りました。(笑)

 私も「すき家」で食べることがありますし、回転ずしにもよく行きます。(笑)

角田 私がデビューした35年くらい前は、食事の描写をする作家はあまりいませんでした。もちろん向田邦子さんみたいな方はいましたけれど、少数派だったと思います。でも私は、小説に出てくる人物が、たとえば傷ついてつらい時に何を食べたのか、とても気になるんです。

 わかります。私も食いしん坊なので……。

角田 私は、人と人との関係性が食事をとおして書けると思った時があって。たとえば恋人同士が行ったお店のビールの値段が800円か380円かで、なんとなく付き合いの深度がわかりますよね。食べものを使って関係性を描く、あるいは何を食べたかによって感情を描くのはすごく面白いと思っています。

 本当にそうですね。

角田 楊さんの小説を読むと、時代や政治的な立場、ルーツがどうあれ、人と人は深いところでわかり合えるんじゃないか、ということを感じます。

楊 日本の方にも、そう思って読んでいただけると嬉しいです。

角田 それと、楊さんの小説に出てくる料理が全部食べられるツアーがあったらぜひ参加したいです。(笑)

 ご案内しますので、台湾にいらしてください!

 

※「楊双子×角田光代トークイベント」の内容を再編集しています
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