自分を労われるという成長
ポケットに半券を入れる指先をおんなのこみたいだなと見ている
逆に『わたくしが樹木であれば』では、おそらく年下の特定の相手が描かれます。
「おんなのこみたいだな」の言葉は明らかに愛する人を見る眼差し。恋の最中にいて苦しい自意識を辿っていた頃とはうって変わり、相手への慈しみを感じます。
歳月を辿り、お相手と関係性を構築した岡崎さまの歌に、『発芽』から読んできた読者はふっと癒されます。きっとその癒しは岡崎さまも同じはず。歳月の賜物でございましょう。
だからこそ出てきた言葉が、「おばさんでごめんねというほんとうはごめんとかないむしろ敬え」ではないでしょうか。
自分も相手も取り替え可能のように詠んでいた時代から、相手を慈しみ、自分を慈しみ、自身の今にプライドを持つ。歳月を積み重ね、自分を労わりながらの日々は、何気にいいものでございますよ。
さて、ハーブティーでお体は十分暖まりましたか。呼吸がゆったりとしてきたよう、嬉しい限りでございます。温かいスープとパンのお夜食のお振舞いです。今日の終わりは豊かで静かに過ごしましょうな。
今回ご紹介した歌人
岡崎裕美子(おかざき・ゆみこ)
1976年山形県生まれ。東京都在住。短歌結社「未来」に所属し、岡井隆に師事。2001年「未来年間賞」受賞。歌集に『発芽/わたくしが樹木であれば』など。
