北海道から全国に進出し、今もっともチケットが取りにくいといわれる演劇ユニット「TEAM NACS」。メンバーのひとりである安田顕さんは、ドラマに映画に舞台に引っ張りだこだ。北海道でどんな子ども時代を過ごし、そして今に至るのだろうか。プライベートでは一児の父でもあるその素顔は──明日7月18日上演開始の舞台『ボーイズ・イン・ザ・バンド』への思いも語った(構成=大西展子 撮影=木村直軌)
北関東でなぜか知名度が高くて
ここ数年は、ありがたいことに映画やドラマでたくさんのお仕事をいただけるようになりましたが、「これで安泰だ」なんて思ったことは一度もありません。自分はこの先も大丈夫だという確信があったら、長期休暇とか取ります。
でも、「ここで休みをください」なんてこと、とても言えないです。こうやってコンスタントにお仕事をいただけるようになってもなお、役者として稼げなかった20代や周りとの経験値の差に焦りまくっていた30代を思い出すと、不安で仕方ないですから。
それでも最近は、「皆さんに知っていただくようになったかな」と感じる瞬間はあるんですよね。特に北関東の群馬や栃木に行くと。たとえば、コンビニでは幅広い世代の方から声をかけられるし、居酒屋に行くと店中の人が僕を知ってくれているんですよ。
東京や札幌ではあまり感じないのに、北関東での自分の知名度の高さには驚きます。いったいなぜなのか、さっぱりわかりませんが。(笑)
出演作品は、基本的にマネージャーさんと相談して決めています。ただ僕の気持ちとしては、オファーが来たものは全部やりたい。不安だからというのもあるし、それで僕の気持ちが満たされるから。もちろん飽きられる怖さはありますよ。でも、いただけたお仕事を失うことのほうがイヤなんです。そうやって仕事を抱えて抱えて抱えて現場に入るから、家に帰った時にボソッと出ちゃうんですけどね、文句が。(笑)