その場にいない人のことは話題にしない

陰口のところで、Aさんの例を出しました。意思疎通が難しいという話でした。その例でも「難しい」で終わらせず、その後にもうひとこと付け加えることができれば、なおよいと思います。「Aさんには、メールで伝えるほうが確かだなと思った」など、何かしらプラスのほうへつなげていけるひとことです。

そうした工夫のうまい知人がいます。知人と数人で、Cさんと同席していました。Cさんは正論の人ですが、あまりにストレートなため、苦手意識を持たれています。その日Cさんが言ったのは、あなた方のしようとしていることはわたしに関係がない、わたしは××部の人間だから××部の利益にならないことはしない、と。

Cさんが去った後も、圧倒されたわたしたちは、しばらく言葉が出ずにいました。硬く黙りこくった場で、知人はひとこと「いやー、Cさんがああ言ったときは、思わず背筋が伸びたよね」。さすが、とわたしは思いました。皆の思いを代弁しながら、陰口になる手前で寸止めし、雰囲気を和らげている。上級者の技ですが見習いたいです。

TPOも考えましょう。食事をしながらの愚痴は、わたしはNGだと思います。心を許したどうしが集まるからこそ、つい愚痴もこぼれるのでしょうが、せっかくの食事の味がわからなくなりますし、作ってくれた人にも気の毒です。周囲への配慮も必要です。隣のテーブルの愚痴を聞かされながら食事する身になってみましょう。

101歳で亡くなった家事評論家の吉沢久子さんは、つき合い上手で知られます。「その場にいない人のことは話題にしない」を鉄則にしていらっしゃいました。ご立派です。

陰口も愚痴も言いたくなるときは、人間だからあります。どうしてものときの工夫をいくつか紹介しましたが、基本的には「その場にいない人のことは話題にしない」のが、人づき合いにおいてはいちばん安全で、自分を含め誰の気持ちも濁さないですむのでしょう。

Point 言い方を工夫し、TPOにも気を配る

※本稿は、『ひとり時間のつくり方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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ひとり時間のつくり方』(著:岸本葉子/三笠書房)

不安や孤独を感じても大丈夫。

しっかり、ゆっくり、自分の居場所をつくりましょう。

ひとり暮らし歴の長い、わたしの体験に基づいた今日からできる“たのしいひとり暮らし”のコツ。