大ヒットした理由は誰も答えられない
<昨年6月公開の『国宝』は、日本国内興行収入が2月、200億円を突破し、観客動員数は1400万人を超えた。興行収入は、昨年実写映画でトップに立ったが、洋画とアニメーションを合わせたランキングでも歴代8位となった。歌舞伎を見る人が増えたり、ゆかりの地に人が詰めかけたりと社会現象を巻き起こしている>
大ヒットした理由は誰も答えられないのではないでしょうか。李監督ら作った人たちだって、こんなに当たるとは思っていなかったのだから。
私にとっては『国宝』の中で『曽根崎心中』が象徴的に扱われたことが一番、大きい。いまや「死ぬる覚悟が聞きたい」というセリフを普通の人が覚えていたりします。昔は、歌舞伎を見て名セリフを覚えて日常で使ったりしていましたが、それがよみがえったような感じです。それくらい『曽根崎心中』の存在感が増し、注目されるようになったことは間違いありまあせん。
『国宝』で『曽根崎心中』を知った方、歌舞伎の『曽根崎心中』を見たことがない方に是非、シネマ歌舞伎『曽根崎心中』を見て欲しい。『国宝』の上映後、拍手が起きたという話を聞きましたが、シネマ歌舞伎でも拍手が起きたら素敵だなと思います。
【作品概要】
作:近松門左衛門
脚色・演出:宇野信夫
製作・配給:松竹
出演:坂田 藤十郎 中村 鴈治郎 坂東 竹三郎 松本 錦吾 中村 亀鶴 中村 芝翫 片岡 我當
収録公演:平成21年4月歌舞伎座公演
【曽根崎心中(そねざきしんじゅう)のあらすじ】
遊女のお初と商人の徳兵衛は相思相愛。しかし、徳兵衛は、友人に騙されて伯父に返すはずだったお金をだまし取られる。徳兵衛は名誉を傷つけられ絶望するが、お初は彼を信じる。お初は縁の下に潜む徳兵衛に、「このうえは徳さまも死なねばならぬ品なるが、死ぬる覚悟が聞きたい」と独白で語る。徳兵衛は、お初の足を刃物に見立て喉元に当て「死ぬ決意」を伝える。2人は、来世で添い遂げようと、夜陰にまぎれて曽根崎の森に向かう。

