しかも専門知識を持った娘から「こうしたほうがいい」などと指図されたり、「臭い」と言われたりして、プライドを傷つけられたことでしょう。私が何を提案しても、「外で偉そうにしていても、あんたは私の娘でしかないんだからね」と突っぱねる。毎日、機嫌を取るのにひと苦労でした。
当時、母は1階、私は2階の部屋で寝起きしていました。臭気は下から上ってきます。朝起きて自分の部屋のドアを開けると、まず悪臭が鼻をつく。私もさすがに、「ああ、今日も朝からこの臭いか」と多少うんざりした気持ちになります。
でも極力顔には出さないようにして、普通に「おはよう」と母の部屋に入る。ところが母は私のわずかな表情の変化を目ざとく捉え、「なぜ朝からそんなイヤな顔をしているの。あんたの勝手で私はこの家に帰ってきたんだから、そんな顔をされるぐらいなら施設に戻る」……。
もちろん私だってカチンとくる。介護ストレスとは、そうした瞬間、瞬間の積み重ねですね。
私はプロなので、腹を立てながらもどこか冷静な部分もあって。そういう時は「お母さんが出ていくぐらいなら、私が家を出るから」と言って外出することにしていました。
マラソンが趣味の私は一走りして、頭を冷やして帰ってくる。そんなことの繰り返しでした。怒りが湧き上がった時はひとまずその場を離れ、外の空気を吸うのは効果的です。
