癒やしと絆のホルモン

ところで、結婚をすると、その後、長い時間を過ごしていくことになります。パートナーシップそのものを脳科学の立場から研究したエビデンスなどはあるのでしょうか。見ていきましょう。

まず、「パートナーのシャツの匂いを嗅ぐとストレスホルモンのレベルが下がる(*2)」というカナダのブリティッシュコロンビア大学で行われた研究があります。

96組の異性カップルが対象となり、男性被験者は24時間Tシャツを着用し、体臭が保存されました。その後、96人の女性が「恋人の香り」、「見知らぬ男性の香り」、「中性的な香り」のいずれか1つを嗅ぐように割り当てられ、模擬面接や暗算といった急性ストレス因子にさらされるという実験が行われたのです。その結果、パートナーの香りを嗅いだ女性では、知覚するストレスが減少し、見知らぬ人の香りを嗅いだ女性はストレスホルモンと呼ばれる血中コルチゾールレベルが上昇しました。パートナーと仲良しでいると、その匂いを嗅ぐだけで安心できるということです。

ところで、オキシトシンというホルモンをご存じでしょうか? これは愛着ホルモンと呼ばれているホルモン。母乳の分泌を促したり、分娩時に子宮収縮を促したりする、いわゆる癒やしと絆のホルモンです。

このオキシトシンは、親子だけでなく男女間や仲間といった、人間同士の結びつきを強めるのに貢献している、といわれています。

*2 J Pers Soc Psychol. 2018 Jan;114(1):1-9.