「名前」は単なる記号
だからこそ、あなたの雰囲気や表情、やりとり、会話の中に、あなた=娘を感じとったのでしょう。そして別の日には、あたり前のようにあなたの名前を呼ぶこともあるでしょう。
認知症になっても、あなたの顔も思い出も、お母さんの記憶のどこかにはちゃんと残っているのです。
「名前」は単なる記号です。
ただ、記憶の回路がつながりにくくなっているだけ。
認知症になっても、あなたの「笑顔」も「話し方」も「思い出」も、脳の中にはちゃんと残っています。
※本稿は、『認知症になって幸せな人、不幸せな人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
認知症は「何もわからない、何もできない」は大間違い!
認知症医療における第一人者が「認知症になって幸せに生きる」ための26のヒントを教えます。
出典=『認知症になって幸せな人、不幸せな人』(著:繁田雅弘/PHP研究所)
繁田雅弘
精神科医、認知症専門医、栄樹庵診療所院長
1958年神奈川県生まれ。東京慈恵会医科大学医学部卒業。スウェーデン・カロリンスカ研究所研究員を経て、首都大学東京(現東京都立大学)健康福祉学部学部長、同大学副学長、東京慈恵会医科大学精神医学講座教授、同大学附属病院精神神経科診察部長などを歴任。
現東京慈恵会医科大学名誉教授、東京都立大学名誉教授。日本認知症ケア学会理事長。
従来の認知症医療・研究への違和感から、2015~22年まで「のぞみメモリークリニック」(三鷹市)の協力のもと、精神療法の手法を用いて認知症の人やその家族の「声を聴く」診療を開始。その記録を『認知症の精神療法』(全3巻/HOUSE出版)にまとめた。
19年より神奈川県平塚市の実家に「認知症の人たちが安心して集える場」として「SHIGETAハウス」を開設。24年に医療法人社団彰耀会「栄樹庵診療所」を開院。じっくりと「声を聴く」診察を求めて、全国から認知症の人やその家族が訪れる。