「がんは糖質をエサにする」説

「がん細胞は糖質をエネルギーにするから、甘いものは控えたほうがいい」

これもよく聞く話で、ネットにも似たような情報があきれるほど多くある。その話に尾ひれがついて「糖質制限をすれば、がん細胞は増殖しない」なんて主張する人もいるくらいだ。

『フルコース がんと私と家族の日々』(著:梅宮アンナ/文藝春秋)

これまで健康志向だった人が、突然がんになり「食べ物にも気を使って、運動もしていたのに……」と嘆いている姿を見たことがあったから、私はなんだか糖質制限の話に釈然としないものがあった。

診察の最中に、思わず先生に聞いてみた。

「がん患者って、食べちゃいけないものとかあるんですか?」

「これは食べちゃダメだとか、これは食べていいとかっていう食事制限のルールは、僕たちの世界にはありません」

ウンウン、私も「だよねえ」とうなずいた。

がん細胞は正常の細胞に比べて、何倍ものブドウ糖を取り込む。PET検査はこの性質を利用して、画像上でがんをマーキングする。どうやら「がんは糖質をエサにする」説は、この話を根拠にしているらしい。

でも、実はエビデンスはない。

入院中に病院で出された食事だって、主食は毎回パンか白米、ときどき麺って感じだった。がん患者が糖質制限をする必要があるなら、パンも、白米も、麺も真っ先に控えなきゃいけないはず。デザートに甘いフルーツが出された日には、「ああ、これが答えなんだろうな」と納得した。結局のところ「タンパク質、脂質、炭水化物、糖質、食物繊維をバランスよく取りなさい」ってこと。