知識がないのに適当言う人が多すぎる

アンナ本人じゃ、らちが明かないとみると、やつら、今度はママを狙ってきた。これにはさすがに腹が立つ。

でも、そのうちにママにも耐性ができたらしい。

ある日は電話でこんなやり取りをしていた。

「はい、梅宮です。うちのアンナはね、病院の治療一本でやってるので、そういうのまったく必要ないです」

「ちゃんと断ってる。ママ、すご~い!」

頼もしさに、私も感激。はじめてママのことを褒めたかもしれない。

「もう、大丈夫よ」

「なんの誘いだった? 免疫? サプリ? お水?」

「超能力だって。超能力で、がんになった原因がわかるんだって」

「じゃあ、さっきのはエスパーからの電話だったの? それなら、テレパシーで私に直接教えてくれればいいのに」

「そうよね、電話なんていらないわよね」

そりゃあ、原因がわかるなら、私だって知りたい。でも、みんな勝手なことばかり言ってくる。「金髪にしてたから、がんになったんだよ」「お豆腐を食べれば、がん細胞なんて消えていくから」「インスタを見てると、外食が多いですよね。食生活が原因じゃないですか?」なんて、そんなコメント一つ一つを相手にしてたらキリがない。ママだって電話で話を聞いているだけでもツラそうだ。

そもそも、がんって、そんなに簡単な病気なの? 原因なんて、すぐにわかるものなの?

乳がんなのか、肺がんなのか、血液のがんなのか、罹患する部位は千差万別。それにステージだって、治療方法だって、みんなバラバラだ。100人いれば100通りのがん治療があるはず。

それなのに、金髪にしてたからがんになって、豆腐を食べれば治るだなんて、冗談じゃない。知識がないのに適当言う人があまりに多すぎる。

怒りを通り越して、あきれてくる。

「一番いいのは、ストレスをためないこと。楽しいこと、笑えることをやられたらいいと思います」

主治医の先生からはこう言われた。

「でも、先生。この地球上に生きていて、ストレスを感じないなんて、ムリなのでは?」

そう心の中で思いながら日々を送っていた。

※本稿は、『フルコース がんと私と家族の日々』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。

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フルコース がんと私と家族の日々』(著:梅宮アンナ/文藝春秋)

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