「マイナーだから面白いんだ」
でも、岩松了さんとの「竹中直人の会」と、大河ドラマ『秀吉』主演も大転機ではないでしょうか。
――はい。かなり大きいです。柄本明さんの東京乾電池の舞台『お茶と説教』を観てとてつもなく感動したんです。役者が観客に向かって芝居をしていない。全員が観客に背を向けてお芝居をしていた。圧倒的な衝撃でした。
すぐに作者の岩松了さんにお声を掛け、「竹中直人の会」(90年)を岩松さん作・演出で立ち上げたんです。
毎回女優をメインゲストに、原田美枝子さん、桃井かおりさん、荻野目慶子さん。樋口可南子さんをゲストに迎えた『水の戯れ』を関さん、岸田今日子さんと観てくださったそうですね!
第8回公演『隠れる女』(2000年)には岸田さんも参加して下さいました。この時は小泉今日子さんも一緒でダブルキョンキョン!
大河ドラマ『秀吉』(96年)での主演も大きな転機です。NHKの西村与志木プロデューサーからお話があって、作家の竹山洋(よう)さんと3人でお会いしました。NHKの偉い人全員の反対を押し切って、「僕は竹中さんに賭けます」って言ってくださった。じゃあ、でたらめな大河にしましょうね! と結束したら高視聴率を取ってしまった。
その頃、内田裕也さんが『秀吉』をずっと観てくれていて、僕のことを「秀吉」としか呼ばないんです。その時の裕也さんのお言葉を思い出します。「おい秀吉、おまえはマイナーだから面白いんだよ。メジャーになっちゃダメなんだよ」。今も胸に沁みる言葉です。
みんなから愛されてしまうつまらなさ。でも『秀吉』のあとは、まわりの人たちがみんな急に優しくなりました。