目的地がわかればこっちのもの!

「このお寺ですか?」

写真を見せると、

『今日も、自分を生きる練習』(著:佐津川愛美/幻冬舎)

「そうそう。ここ。ずっと昔から行ってるのよ」

目的地がわかればこっちのもの!

「信号を渡ったところのバス停から乗るみたいです」

「あらそう。じゃあ行ってみるわ」

人が多い渋谷駅。すごく不安そうに見えて心配になってしまった。

「そこまでご一緒します」

「申し訳ないからいいわよ。渡ったらまた誰かに聞くから。時間ないでしょ?」

「今日は早く出てきたんですよ。時間は全然大丈夫なので、信号一緒に渡りましょう」

ご老人は、

「申し訳ないわね。でもありがとうね」

そう言うと、ゆっくりと歩き出した。

「おいくつですか?」

「90歳」

「90歳ですか! しっかり歩かれてすごいですね!」

「そうでもないのよ。なんでこんなことになっちゃったのかしらねぇ。お友達と電話がつながらなくて。ずっと昔から通ってるお寺さんなのよ。なんでかねぇ」

お友達と待ち合わせしていたけど、つながらないからお寺に行ってみるそう。