効いていた治療が効かなくなる がんの手強さ

「もう効果の見込める治療がありません」―もしもがんになって、医師からそう告げられたら、あなたはどうしますか。

50代でステージ4の卵巣がんと診断された小松さん(仮名)は、「生きるための選択肢」を見つけることを諦めませんでした。

 

がんがわかったのは2年前。おりものに違和感があり、念のため婦人科に行くと、卵巣に9センチの腫瘍が見つかりました。専門の病院で詳しく調べると、がんはすでに肺やリンパ節など、全身に広がっていて、最も深刻なステージ4の状態でした。痛みも体の不調もなく、ふだんと何も変わらない生活を送っていた中での告知。がんは、静かに、けれど着実に体をむしばんでいました。

 

小松さんのMRI画像。広範囲にがんが広がっていた(写真提供:NHK)

 

2人の娘はまだ学生。泣き言を言っている場合ではない、なんとか生きなきゃいけない。

小松さんは卵巣やひ臓など複数の臓器を取り除く大規模な手術と、脱毛などの副作用が伴う抗がん剤治療を耐え、一度は体からがんが見えない状態まで改善しました。

しかし、抗がん剤治療を終えて3ヵ月が経ったころ、がんの再発が見つかりました。

医師からは今後の治療方針として、保険診療で処方できる薬をいくつか提示されましたが、どれも効果が出る確率は10%程度でした。これまで効いていた薬も効かなくなるのだと、主治医から伝えられたといいます。

 

小松さん「聞きました私。あれだけ効いていた薬が効かなくなるんですか?と。そしたら『そういうことになるんです』って。もし効かなかったら、どのくらい生きられるんですか?って聞いたら、『1年ももたないですね』とおっしゃられて。『最期をどういうふうに迎えたいかを元気なうちに考えておいたほうがいい』みたいなこともお話くださったんですけど、ちょっとまあ自分の中では受け入れたくないと」

何かできることはないのか。医師に繰り返し問いかける中で提示されたのが「治験」という選択肢でした。治験とは、新しい治療の開発のため、まだ国に承認されていない治療を試験的に行うものです。