「がんが消えた今の方が、恐怖は大きい」 再発予防にAIの力を

治験に参加している38歳のレーニヒさん(写真提供:NHK)

 

番組では、AIを用いた「オーダーメード」のがん治療薬の開発についても取材を行っています。日本の大手IT企業が開発したAIが、患者ひとりひとりのがんのゲノム情報を解析し、その患者専用の治療薬を作るというものです。

 

ドイツを舞台に、患者さんに試験的に投与する「治験」が始まっています。

取材を受けてくれたのは、この治験に参加している38歳のレーニヒさん。手術と抗がん剤治療を行い、現在は体の中にがんが見つからない状態になっていますが、最初の治療中には感じなかった「恐怖」を感じているといいます。

レーニヒさん
「最初の治療のときは、病院に行くのは安全な港にいるような、ある種の安心感を抱いていました。医師や看護師のみんなに助けてもらっているという感覚です。しかし治ってからは、病院で検査をするたびに、再発や転移が見つかって、二度とこの病から抜け出せなくなってしまうのではないかという恐怖が常にあります。子どもたちを見守ってあげられなくなるのではないか、という怖さです」

かつて「不治の病」と呼ばれたがんも、今は標準治療のレベルがあがり、治療成績も向上しています。それでも、再発や転移をしたがんの治療は難しく、取材でお話を聞いた多くの患者さんが、レーニヒさんのように「再発への不安」を語っていました。

レーニヒさんは、再発予防のため、AIを使ったオーダーメードの薬を飲み、現在安全性と効果の検証が行われています。

AIが医療に入ることで、何が可能になるのか。未来のがん医療の可能性についても番組でお伝えします。