山田哲人は山田哲人なのだ

何と表現すればいいのだろう? 決して悪い意味ではなく、哲人は心の感情がとても豊かだ。「心の感情」というのは変な言い方だが、とにかく繊細で、いろいろな感情がその内面に秘められている。

外から見ていると、哲人の場合は闘争心とは無縁だ。ムネ(村上宗隆)のように、ベンチの前に出て「さぁ、行け!」と大声でガッツを見せたりするタイプじゃない。でも、哲人の場合は「真の闘争心」がある。哲人の場合は闘争心、ガッツだけじゃなく、悔しさ、虚しさ、寂しさも含めて、いろいろな感情が詰まっている。ひと言で言えば、とても繊細なのだ。故障から復帰するときにも、「次に故障したら許さんぞ」ということを伝えたことがある。その瞬間に彼も感じるものがあったのだろう。ハッキリと表情が変わったのがわかった。

チームにとって哲人の存在は本当に大きい。個人的な思いを言わせてもらうならば、「打つ、打たない」という結果にとらわれすぎることなく、もっともっとグラウンドを駆け回ってほしい。トップスピードに乗った際のスピードは、ベンチからいつもほれぼれしながら見ていた。あのスピード感こそ、山田哲人が、山田哲人である理由だ。

やっぱり、山田哲人は山田哲人なのだ。

26年7月、彼は34歳になった。まだまだ老け込む年齢じゃない。むしろ、これから円熟期を迎える年齢だ。もう一度、しっかりと身体を作り直して、楽しそうに、そしてカッコよく躍動する哲人の姿を1年でも長く見続けていたい。

※本稿は、『愛と哀しみのスワローズ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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