(写真提供:Photo AC)
「どうしてあんなミスをしたのだろう」「なんで間違えたのだろう」…そんな「思いもしないミス」をした経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。北九州市立大学特任教授・名誉教授であり、認知心理学を専攻されている松尾太加志先生は「人は、必ず間違いをしてしまう。人による間違いをヒューマンエラーという」と語ります。そこで今回は松尾先生の著書『ミスによる事故をどう防ぐか-4種のヒューマンエラーと組織の安全文化』より、一部を抜粋してお届けします。

ヒューマンエラーの定義と分類

ヒューマンエラーとはどのようなものであるのかを考える。身近な例としてドリンクバーでのヒューマンエラーをとりあげる。

最近、自分の好きな飲料を好きなだけ飲めるようなフリードリンクのサービスが多い。ドリンクバーにはドリンクディスペンサーという機器が設置されており、自分で飲み物をカップに注ぐことができる。

思い通りにできない

ドリンクディスペンサーの使い方自体はそれほど難しくない。基本は、カップを決められたところに置いて、飲みたい飲料のボタンを押すだけである。しかし、メーカーや機器によって操作法も異なり、使い方に戸惑ったり、違う飲み物を注いでしまったりした経験は誰にでもあるだろう。

たとえば、オレンジジュースを飲みたくて、「オレンジジュース」と書いてあるところを押したが、飲料は出てこなかった。実際にはその横にある丸いボタンを押すべきだったが、名前の書いてあるところがボタンだと勘違いしてしまったという間違いである。

ただ、ボタンを正しく押せても、カップを正しく置いていないといけない。ひとつの機械でいろいろな種類の飲み物が出てくるタイプには注ぎ口が複数あり、正しい注ぎ口の下にカップを置かないといけない。間違った場所に置いてしまったり位置が少しずれていたりすると、カップには注がれずにこぼれてしまう。