「鴨川へ行った折に、夫が生前に仕込んだという味噌を発見したのです。それで東京へ持ち帰り、毎朝、お味噌汁にしていただくのが習慣になりました。一緒にいるような気がして、ものすごくリラックスできるの」

その頃の私を悩ませていた不調のひとつは、低体温です。体が冷えて冷えて、なかなか体温が上がらない。そこで当時は画期的だった赤外線サウナをわが家に設置しました。低温なので、中で歌を作ったり、原稿を書いたり。家のことから離れて一人になれるという意味でも、サウナタイムは大切な時間でした。

湯船でじっくりと体を温めたら水シャワーを浴びるという、免疫力アップに効果的な温冷交代浴は、50代から始めた習慣。冷え性に効くと聞いて始めた当初は水シャワーに体がしびれてビックリしたけれど、今は浴びないと気持ちが悪いくらい。顔が火照るほど温まり、ポカポカが持続するので病みつきになること請け合いです。

「歳を重ねるにつれて体がしんどくなっていく」というのが定説ですけど、私、今が一番調子いいの。年を重ねた事実は受け入れるけど、「この歳じゃできない」「もうムリ」と諦めない。自分の体を甘やかしすぎず、力を信じてあげることで、ポテンシャルも引き出せるし、病気を遠ざけることにも繋がるのではないかしら。

 

今も夫に守られているよう

がん以来大病知らずになった私ですが、98年、今度は夫の藤本敏夫に肝臓がんが見つかり、4年の闘病の末に亡くなりました。彼は千葉で有機農業を行う「鴨川自然王国」を設立して、私たち夫婦は千葉と東京の二元生活を送っており、晩年は東京で二人暮らしをしていました。思い出はたくさんあるけれど、どんなに忙しい日でも必ず共にしていた朝食の時間が心に刻まれています。それだけに彼の死後、一人で朝食を食べるのがつらかった。

ところが鴨川へ行った折に、夫が生前に仕込んだという味噌を発見したのです。それで東京へ持ち帰り、毎朝、お味噌汁にしていただくのが習慣になりました。一緒にいるような気がして、ものすごくリラックスできるの。今もお味噌汁を飲むたびに、夫に守られているのを感じます。