「最初はね、自分でもびっくりして、そんなことできるのかなと。でもやってみたい。それで、「よろしくお願いしますよ」と」(こん平)

 そう、目の色が変わったんです。そしてこの「都電落語会」の開催を決めた直後、日本テレビから『24時間テレビ』生出演のオファーがありまして。この年、2014年は8月22日に「都電落語会」に出て挨拶をし、8月31日は日本武道館での生放送に出演。どちらでも、林家こん平のキャッチフレーズともいえる「1、2、3、チャラ〜ン!」を披露しました。父が10年前に倒れたのが『24時間テレビ』の直後。それだけに、同じ『24時間テレビ』で10年ぶりの「チャラ〜ン!」をこうしてやれたことは感慨深かったですね。よかったでしょう?

こん平 ああ、本当によかったね。

 

少しずつ会話も増えてきた

退院から約1年後、「都電落語会」や『24時間テレビ』の出演が続いたこの時期、こん平さんの要介護度は4から3に。ほとんど寝たきりだったのが、車椅子で動けるようになり、言葉もスムーズに出るときと出ないときの波があるものの、少しずつ会話も増えてきた。

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 「都電落語会」は毎月1回の開催で、もう4年続いています。それと、父の愛する故郷、新潟にも活動拠点を置き、昨年「笑みの処方箋“わらい亭”」というお店をオープンさせました。新潟市の補助事業として、月に1回、噺家が一席、落語を披露し、講師陣が落語の絵本の読み聴かせをするといったイベントを開催するのです。ここでも父が登場し、挨拶をします。

こん平 短いですけど、ご挨拶といつもの「チャラ〜ン」を。

 こうしたイベントに出るとなると、まず歩かなければいけない。立つ、座るという動作も多くなる。移動はいつも車ですが、新潟への行き帰りではパーキングエリアでトイレに行ったり……。こうしたことを重ねることが、自然とリハビリになっているんですね。1週間に一度、運動療法士の先生に来ていただいていますが、外に出て人前で動くことも、とてもいい効果があるような気がします。みなさんに見られていると「頑張らなきゃ」となるし。

こん平 そうそう、張りきっちゃう。