ジョン・ウェインになりたい

ところがこのところ、そんな私の男性観に変化が見え始めた。コロナ禍で日本に留まるようになってから毎日映画を貪るように観ているが、最近は古い西部劇が中心だ。特殊な時代と向き合う日々の中で、西部開拓で牛を追うカウボーイの、荒々しく逞しくもどこか寂寥感のある様子に強い魅力を感じるようになった。

しかし、厳密に言えばそれはカウボーイ的な異性に対する嗜好ではない。画家を目指していた若い私は詩人を好きになったが、今の私に必要なのは余計な思惑や念に囚われず、独りでも生きていける強靭な逞しさだ。ジョン・ウェインに惚れるのではなく、自分がジョン・ウェインになりたい。漫画という商売を畳む日が来たら、広い土地に移って動物を相手に猛々しく老後を暮らすというのも、大変そうだが向いているような気がしている。