加賀まりこさんと恋人同士にならなかったから
エッセイ本『グッモー』を作ることにして、じっくりと自分の人生を遡ってみました。そうしたら本当にいろいろな人の顔が思い浮かんできました。
芸能界に入ったきっかけは、母親に連れられて秋本まさみさんの家へ遊びに行ったこと。秋本さんは「野獣会」という、今でいうファミリー的なエンターテインメントグループのリーダーをしておられた。
一室に若い人が集まって、当時流行していた洋楽を演奏していてね。秋本さんから「いつでもおいで」と言われたから、学校が終わったら真っ先に顔を出していましたよ。
野獣会で出会ったのは、僕を弟のようにかわいがってくださった峰岸徹さん。15、16歳のころだったな、峰岸さんに連れて行ってもらった六本木のレストランで加賀まりこさんに会った。二度見、三度見、四度見はしましたよ。「あのフランス人形みたいな女の子は誰?」って。衝撃的だったなあ。
共通の知り合いのカメラマン・立木義浩さんがいたから、そのお家でよく一緒に食事をしていました。加賀さんのほうが4つ年上だったから、「ねえさん、ねえさん」と慕って、追いかけていましたね。本当にお世話になりました。
先日、加賀さんと会った時に「あんたとも長いわね。60年くらいのつきあいじゃない?」と言われました。「別れがないのは、恋人同士にならなかったからでしょう?」と返したら「それは言えてるわね」だって。(笑)