父と交わした2つの約束

3ヵ月経っても私が夢中でバーベルを挙げている様子を見て、父も観念したらしく、中3の終わりから本格的に父の指導を受けるようになりました。その時、2つの約束をさせられたんです。1つは「途中で投げ出さない」。2つ目は「五輪でメダルを獲る」。

重量挙げは自分がやりたいと言って始めたこと。自分で決めたことには責任が伴いますし、何より楽しい。楽しいから工夫や追求もする。しかも練習結果がダイレクトに数字に表れる競技なので、それが何より面白かったですね。

父と本格的に練習を始めて9ヵ月後には全国高校女子選手権53kg級で優勝していましたし、3年後には全日本選手権で初優勝。短期間でステップアップできたのは、やはり環境が大きかったと思います。幼い頃から兄たちの試合に連れていかれていたので、体の使い方は何となくイメージできていたんです。

父の指導方針は1に怒らない、2に褒めて伸ばす、3に見守る、4に選手に考える時間を与えるといったもの。この指導法は私にはピッタリでした。

父は多くの選手を育ててきましたけど、指導法は私に対しても同じ。決して押し付けがましくなく、本人の意思をすごく尊重してくれるし、タイミングよく言葉をかけてくれる。それは一人一人を注意深く観察しているからだと思います。迷っている時に「こんな選択肢もあるよ」と視野を広げてくれたりもしました。

後編につづく