私が悩みを持ちかけてきた人を突き放す理由

私には、同級生どころか、芸能人の友達もほとんどいない。

1954年、20歳の頃の中村メイコさん(『婦人公論』昭和29年12月号より)

幼少期は大人に囲まれて過ごしたし、少女時代は仕事で忙しく一緒に買い物に行ったり、おしゃべりをしたりできる友達は皆無だった。結婚してからは家事と育児に忙しくて、「ママ友」のような存在もほぼいなかった。

友達がいないのは、私の性格がドライだということも影響している。長年芸能界で活動していれば、付き合いも増えてくるし、それなりに親しくなる人もいる。結婚や子育てを経験している私に、悩みを持ちかけてくる人も多い。

そういう人の話は一応聞くけれど、「それで、どうしたらいいと思いますか?」と尋ねられても「それはご自身でお考えになったら」と突き放す。

「メイコさんって、親切そうに見えて、実は冷たいのね」と思われた人もたくさんいただろう。でも、基本的に自分の問題は自分で解決するしかないと思っている。

私を頼ってくれる若い人から同年代の人たちまで、私は誰ともべったりとした友人関係は結ばず、程よい距離をとっている。今の若い人の中には、会ったばかりでよく知らない人とも簡単につながり、友達の数を競う風潮があるようだが、それで本当に人生は楽しいのだろうか。

そもそも私は一人が好きなので、買い物や外でお茶するときはいつも一人。そのほうが気楽だし、性に合っている。