これからも不思議な友情は続く

私がまだ二十代で、ちょうどハヅキを妊娠していたとき、こんなこともあった。

銀座でばったり黒柳さんに遭遇した。

「どうしたの? いつものメイコさんと違うわね」

その当時、胆石で苦しんでいた私は浮かない表情をしていたのだろう。黒柳さんが心配そうに声をかけてくれた。

「実は、胆石が見つかって、もしかしたら手術になるかもしれないの」

私がこう答えると、黒柳さんが急に目を輝かせて一言。

「まあ、胆石! 出てきたら私にちょうだい。今、珍しい石を集めているから」

私も時々常識はずれのことを言って人を驚かせるが、黒柳さんは何枚も上手だ。しかもまったく邪気がない。そこに私は感動するし、信頼を置いている。そんな人は芸能界には彼女しかいない。

『徹子の部屋』には、何度も呼んでいただいている。最近は家族ぐるみで出演し、毎回徹子さんに大笑いさせていただいている。二人の不思議な友情はこれからも続く。

※本稿は、『大事なものから捨てなさいーメイコ流 笑って死ぬための33のヒント』(講談社)の一部を再編集したものです。


『大事なものから捨てなさい-メイコ流 笑って死ぬための33のヒント』(著:中村メイコ/講談社)

19年には骨折と入院を経験し、コロナ禍で女優業も思い通りにならない。そんななかでも明るく生きる喜劇役者が語る「生きるヒント」。