なりゆきと直感まかせで

アメリカ留学を終えて日本に戻った私は、早速、お菓子教室を開きました。場所は京都。母の台所です。実家の玄関先に掲げた小さな看板が目印。 ただのレッスンでは話題にならないと、アメリカ開拓時代の衣装を着て 金髪のかつらをかぶり、いわゆるコスプレをして、雰囲気も楽しめるスタイルにしました。

「なりゆきと直感で進んできた」という平野さん(写真提供:主婦と生活社)

最初の生徒さんは2、3人だったと思います。ひょんなことから京都新聞にそのことを取材されると、たちまち問い合わせが殺到。ありがたいことに、あっという間に200人近い生徒さんが集まり、徐々に大きくなっていきました。

「こんなにおいしいケーキなら、お店をもたはったらいいのに」 なにげない生徒さんのひと言に、「そう?そやね!」と、またしても 私の「やってみはったら!」が即座に反応。すぐにお店のオープンを決心。 思いがけない展開でしたが、「いつまでも母の台所を間借りしてはおられない。そろそろ解消せねば」という気持ちにも強く後押しされました。

ビジネスなんてまったく経験はありませんが、なりゆきと直感で京都の中心地に教室兼お店をオープン。ニューヨークの「ディーン&デルーカ」が大好きだったので、借りたのは京都特有の町家でしたが、内装は白と黒、グレーを基調とした「ディーン&デルーカ」風にリフォームしました。