生きるか死ぬかという覚悟でワクチンを

当初は手術後すぐに、完全に仕事に戻るつもりでしたが、そんなの夢のまた夢という感じです。さらに新型コロナウイルスのワクチン接種問題も重なりました。

もとより私の場合、「ワクチンを打ったら命を脅かすほどの副反応が起きる可能性が高い」と担当医に警告されていました。だからICUのある病院で接種してくださいというのです。また、肺の手術を受けたリスクに加え、これまでも何度か重い副反応を経験しているんです。肺炎球菌ワクチンでも、低用量ピルの被験に応じたときも。

ICUの整った病院はコロナ患者で手一杯の時期でした。ならばワクチンを打たない選択をして感染予防に徹すればよいのか。でも、夫や同居している娘にも、行動を制限し続けてもらうことになります。もうこれ以上は負担を強いたくないし、私も仕事が滞るばかりだし、一体どうしたらいいの、と悶々としていました。

そんななか、肺の主治医以外の医師にも相談してみようと閃いて近所の医院へ。するとドクターが「広田さんの場合は、ワクチンの副反応より新型コロナに感染した際の重症化リスクのほうが高いのでは」という見解を示したのです。そして「仮に副反応が起こっても、近所だからフォローします」という言葉に背中を押され、ワクチン接種を受けました。

もう、生きるか死ぬかという覚悟でしたが、幸い、1度目も2度目も、少し熱が上がった程度で済んだので、過剰に考えてしまったことがちょっと恥ずかしいです。よく考えてみれば、万一のことがあろうとも、三浦君も吹越さんも立派な大人ですから、私がいなくても生きていけるのに。(笑)

広田レオナ「成金から一転、夜逃げした子ども時代を経て女優からシングルマザーに。金持ちと貧乏を経験して気づいた大切なこと」〈後編〉につづく