(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第17回は『ME AND MY GIRLの魅力』のお話です

『ME AND MY GIRL』とは

「何回も同じ作品に出るって飽きたりしないんですか?」
よく聞かれる質問です。

宝塚でも人気の高い『ME AND MY GIRL』。

下町に住む若者ビルが、紆余曲折の末に大富豪の伯爵家の跡継ぎとして迎えられるという
『マイ・フェア・レディ』の男性版、明るくロマンティックな物語です。

ご存じない方の為にあらすじを。

場所はイギリスのロンドン。名門貴族であるヘアフォード伯爵家の当主が跡継ぎを残さないまま亡くなり、後継者問題が浮上する。
当主は「自身が若い頃のあやまちで生まれた一人息子ウィリアム(通称ビル)を見つけて、彼が貴族としてふさわしい人物ならば爵位と全財産を継がせる」と遺言を残していた。

ビルはロンドンの下町・ランベスで、無教養で品がない、がさつな青年として育っていた。
そんなビルを、後見人の男爵ジョン卿は跡継ぎにはできないという。一方、遺言執行人の公爵夫人マリアは、ビルに厳しい後継ぎ教育を受けさせて紳士に育てようとする。
マリアの姪のジャッキーは、財産目当てにビルに迫るが、ビルにはランベス育ちの幼馴染だった恋人サリーがいたため、ジャッキーに容易になびかない。

しかし、マリアの厳しい指導のおかげで貴族らしくなっていくビルを見て、サリーは不釣り合いな自分は身を引くべきと決意。
そんな彼女に、ジョン卿が近づいてある提案をする……。

というお話です。