先のことは考えず、目の前の楽しいことを考える

というわけで、舞台はこれを最後にしますが、その他の活動はこれからも続けていきたいと思います。もともと楽天的なせいか、気持ちは前向きでいつも面白いことを探しています。

もちろん、体は以前のようには動かなくなっていますよ。速く走ることはできないし、スキップもちょっと怖い。今、稽古場への往復は自分で車を運転していますが、10月に90歳になるのを機に免許を返納するつもりです。私は返したくないんですけどね、周りが心配するので。(笑)

運動はストレッチとか体操をして毎日15分はしっかり歩きます。以前はゴルフをしていましたが、一人芝居を長く続ける中で、ケガが怖くてやめました。食事は、なぜか息子が結婚せずに一緒に暮らしておりますので、ちゃんと二人分作って食べています。一人だったら、インスタントラーメンとかで済ませたかもしれないんですけど、肉、魚、野菜をしっかり摂っています。

これから先のこと、ですか? そんなに先のことは考えないの。それよりも目の前の楽しいことを考えます。この芝居が終わったら、8月には朗読劇、そのあとは時間ができるので、たっぷり読書をしたい。

今一番楽しみにしているのは、本屋大賞を取った『同志少女よ、敵を撃て』。以前から大好きな北方謙三さんの中国ものとか、しっとりとした宮本輝さんの作品とか、読みたい本がたまっているのです。

とはいえ、6月に舞台から解放されたらどうなっちゃうのかしらねえ。『化粧』をやめたとき、皆さんから「お寂しいでしょう」と気づかっていただいたのですが、ゼーンゼン。もう死にそうなほどホッとして、今までこんなに重荷を背負っていたのかと気づきました。完全に舞台から解放されたら私はどうなるのか、ちょっと想像がつきませんね。何かやりたくなるのかな。そんな私自身も楽しみですねえ。

『婦人公論』7月号の目次、購入はこちら


新劇交流プロジェクト2『美しきものの伝説』

【作:宮本研 演出:鵜山 仁】 2022年6月16日(木)~6月26日(日)に東京・俳優座劇場にて上演。