最後に着たのは退団の千秋楽

宝塚で最後に着物を着たのは、退団の千秋楽でした。
あんなに着物が苦手で嫌いだったはずなのに、
着物を着る時の洋服では感じられない背筋の伸びる感覚が気持ちよく、
苦手でも嫌いでもなくなっていました。

黒紋付に緑の袴で入団し、最後も黒紋付に緑の袴で大階段を降り、
皆様に最後のご挨拶をします。

もう二度と着ることはないタカラジェンヌの正装。
改めて身の引き締まる思いがしました。

黒紋付に緑の袴で始まった宝塚人生は、
黒紋付に緑の袴で最後を迎えます。
これが宝塚の伝統です。

どんな衣装よりも思い出に残っているその黒紋付と緑の袴は、
今もタンスに大事にしまっています。
懐かしく誇らしい、私の宝物です。

緑の袴を久しぶりにタンスから出して風を当てました。
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