筆者の関容子さん(左)と(撮影:岡本隆史)

出来損ないの要素にすごく惹かれる

橋爪さんはテレビドラマに出ていてもどこかユニークで、微妙に台詞の間を外してみたりするのが面白く、ぼんやり観ていても、ふっと我に返らされる。

――わざと外してるわけじゃないんだけど、時代劇はこう、恋愛ものはこう、という演技の枠があって、役者はその枠に取り込まれやすい。一ぺん取り込まれちゃうと、そういうしゃべり方しかできなくなっちゃうんですよ。それはやっぱり避けたいな、と思ったのは事実ですね。

僕は秘密主義で、自分の中を見透かされるのが嫌い。だからまぁ、スレてるんですよ、人間の観察の仕方が。誰も目をつけないような出来損ないの要素にすごい惹かれる。若いときからそういうのを見つけるのが好きだった気がします。そういう人間に会うとすごく惹かれるのね。

要するにありきたりが嫌いなんですね。これがはっきりしてきたのが第二の転機と言えるかもしれない。

あのね、僕、40歳すぎからちょっと売れるんですよ。その原因はNHKの朝ドラ『青春家族』(1989年)の典型的な「良いお父さん」なの。するとそのイメージの役が多くなる。だから普通の役でも、ちょっと変なところを隠し味みたいにして入れると、自分の中ではある程度満足できる。あんまり一般ウケはしないけどね。だから俺のファンって、ちょっと変わってる人が多いよね。(笑)