消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています

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日本各地に残る白鷺による温泉発見の由来や伝説

歴史ある温泉の多くには、開湯にまつわる発見伝説が存在する。温泉を見付けたのは鳥獣や高僧、武将、日本神話の神など多種多様で、中には複数のエピソードを持つ温泉も。

真偽のほどはさておき、日本各地に残る鳥獣による温泉発見の由来や伝説を紹介しよう。

シラサギによる温泉発見伝説とは?

●湯田川(ゆたがわ)温泉(山形県鶴岡市湯田川)

発見は和銅5年(712)で、重傷を負った1羽のシラサギが葦原に降りたち、湿地で浴していたが、数日にしてその傷が全快し、いずこともなく飛び立って行った。

これを見ていた里人が不思議に思い、そこへ行ってみると、コンコンと温泉が湧いていた。

当初は「鷺の湯」と呼ばれ、近年まで「白鷺軒」「鷺見屋」など「鷺」の付く旅館が数多くあったのはそのゆえんで、現在では「鷺見屋」だけがその名残りをとどめている。

秘湯マニアの温泉療法専門医が教える-心と体に効く温泉