「喋れなくてもいいから一緒にいたい」
7人の子どもたちも皆大きくなり、年齢は上から32歳、30歳、29歳、24歳、22歳、21歳、20歳。イヤになっちゃいますよね、一番上が32歳ですって(笑)。上の子5人が独立して、一緒に住んでいるのは下の2人のみ。なので現在は、その2人と夫と私の4人暮らしです。
とはいえ彼らももう大学生なので、授業がリモートから対面に戻ってからはあまり家にいません。大学の授業に加えてアルバイトもしているため、ほぼ夫と2人暮らしのような状態です。
私は17年にリウマチと神経障害性疼痛を発症し、19年には舌がんを患っています。以前は楽しい時ばかり家族で集まっていて、私もそれでいいと思っていたのですが、病気をしてからは、困った時に集まってこその家族だと考えるようになりました。
舌がんの場合、もっとも生存率が高い治療法は手術だと説明を受けましたが、舌を手術すると後遺症が残ります。どうしても以前のようには喋れない。最初に担当医の説明を聞いた時も言語に障害が残るということを受け入れられず、「それなら手術は受けたくない。私はもう十分に生きたから人生終わってもいい」とさえ思っていました。
そうしたら、当時高校生だった娘から「まだまだそばにいてほしい。喋れなくてもいいから一緒にいたい!」と泣かれたんです。あの言葉がなかったら、今こうして元気な姿で取材を受けることもなかったと思います。よく「家族の支えがあってこそ」と言いますが、本当にそのとおりだと、今になってあらためて家族のありがたみを感じています。