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絶対欠かせないトマト
野菜炒めの皿に、母が絶対欠かさないのはトマト。盛り付けの彩りに気をつかっているらしい。トマトが冷蔵庫にないと、朝わざわざコンビニに買いに行っている。昨年、膝を痛めてからは家から横断歩道を渡ってすぐ近くのコンビニヘビーユーザーだ。トマトは飾りだから食べない。これの皮をむいてサラダにしたりして母が食べるように算段するのも私の仕事。なかなか減らないトマトは自分用のスープにする。母は酸っぱいものがあまり好きでないらしく、飲まない。
トマトもさることながら、生ハム、カニカマ、ソーセージの輪切りを揚げたもの、赤いミニ大根の漬物とやたらに赤いものを買ってくる。認知症になる前は、このような加工品を買ってくることはほとんどなかった。生ハムは朝晩買ってくる時もある。「赤いもん、好きだよね」と言ったら、笑っていた。
「認知症と色」は別途考察したいと考えている。あと、生ハムと必ず一緒に買ってくるのが袋入りの千切りキャベツ。コンビニには申し訳ないが、生のキャベツを千切りしたほうがおいしい。これも朝晩買ってくることがあるので、「買ってこないで」と言うと、最近は「コンビニの人がサービスでくれた」と言い出した。
専業主婦だった母にとって、買い物に行き食事をきちんと作ることが、「自分はぼけていない」と確認するよすがになっているのだと思う。だから、進行するにつれ買い物と料理により執着するようになったと感じる。