4ヵ月目に入った頃、夫と同世代の男性が、同じ脳出血で半身マヒになり入院してきた。奥さんが毎日病院に来て、院内でのリハビリに付き添い、一緒に昼ご飯を食べて帰って行く。

一方、私は土曜にしか病院に行けなかった。平日は仕事があったし、日曜は家事を片付けなければならない。1時間以上病室にいることはなく、夫の着替えをロッカーにしまい、たまった洗濯物を大袋いっぱいに入れてかついで帰った。

それでも家から病院までは車で往復2時間。この休日の3時間は、私にとって難行苦行だった。

晩秋の夕方、暗くならないうちに帰ろうと洗濯物の大袋をかつぎあげた時、隣の患者の奥さんから声をかけられた。

「そんなに大変ですか?」

「え!? 大変じゃないんですか?」

「私は、昼間家で姑と角突き合わせなくていいし、のんびり夫と過ごせて幸せです」

「平日は仕事があるし、うちは子どももいるので、病院通いをするのは大変です」

腹立たしいやら、情けないやら……。洗濯物ではちきれんばかりの大袋を車の後部座席に投げつけ、病院の駐車場を出た。