「世良公則&ツイスト」としてデビューした1977年当時、日本ではまだまだロックは認知されていませんでした。地域によっては「ツイストのコンサートに行ってはいけない」と教育委員会からお達しが出るほど。ロック、イコール不良の構図です。
同じミュージシャンの先輩からも反発がありました。歌番組の常連になると「テレビなんかに出て、あんなのロックじゃない」などと言われたりして。でもむしろ僕らはテレビに出たかったし、そのつもりで上京し、デビューした。ロックをもっとメジャーなものにしたい。たくさんの人に俺たちのロックを聴いてほしいと。
そんな時代から時を経て、現在はといえば――ミュージックチャートを占める曲の多くはロックサウンド、テレビにもロックバンドがどんどん出ています。
「世良公則&ツイスト」が3年半で解散したあとはソロで活動していますが、今、僕のコンサートには、ツイスト時代からの60、70代のファンもいれば、ツイストを知らない30、40代、バンドをやっている若い子たちも来ます。
『カムカム~』で知ったという方も。ライブ会場を見渡すと、20代から70代まで何世代にもわたって、ひとつの空間で同じ熱い時間を過ごしている。
そんな光景を見ていると、感慨がこみ上げます。22歳でデビューしたときの夢はこれだったなと。たとえば、すごい車に乗ったり、お金を儲けたりすることは、タイミングがよければすぐに実現できる。だけど、僕の夢は絶対に時間をかけないと叶わない。そういった意味では、僕も音楽の世界で年月を重ねながら、一つひとつ夢へのステップを踏んでこれたのかな。