「ファンの方に求められている《ボーカリスト世良公則》の強さというものに、幾分かでも応えようとしている自分がいて」

40代になり俳優を完全休業

26歳頃から俳優の仕事も始めました。音楽をやりながら、俳優もやる。そんななか、30代の終わり頃から40代にかけて、大きな岐路に立たされました。

デビュー以来、音楽での自分は、そのパフォーマンスもあって強くてワイルドなイメージ。一方、映像は別世界のもの。ところが、ファンの方に求められている「ボーカリスト世良公則」の強さというものに、幾分かでも応えようとしている自分がいて。スクリーンのなかでもそれに影響されることがありました。

あるとき、音楽のスタッフに言われたのです。「世良さんは死ぬとき、みんなから何だったと言われたいですか」。僕は答えました。「あいつ、ちょっとだけいいミュージシャンだったな、と」。返ってきた言葉は「ならば、今やってることはちょっと違います」。

つまりは、今のままでは、ミュージシャンとしても俳優としても、ずっと鎧兜をまとい続けることになる。それはそれでカッコいいと支持してくれる人もいるだろうけど、自分たちスタッフの思う世良は違うんだと。