保守的な自分を脱ぎ捨てれば

私は今日、華やかなピンクのワンピースを選びましたが、若い頃には絶対に着なかった色です。時代の影響もあってシックな色を好んでいたし、なんといっても似合わなかったから。でも50代のある日、「今の自分ならどうかしら?」と思い立ちました。好奇心に突き動かされて試してみたら、顔がパッと明るくなって心もウキウキ。以来、カラフルな色にも挑戦するように。

これは自分らしくない、これは似合わない、この年齢では無理といった思い込みを手放し、保守的な自分を脱ぎ捨てれば世界がグンと広がります。新しい私に出会うことができるのです。

勇気も大事、行動力も大事、遊び心も大事。そして何より、自分の変化を楽しもうという心の余裕が大切。私の場合、昔から人の目は気にならないタイプでしたが、ここへきて拍車がかかっている気がします。「私は私」と言い切って、とにかくとっても自由な気分。ああ、ついにこの境地にたどり着いたかという感じです。

 

向田邦子さんに「無国籍ね」と言われて

いよいよ来年で60代から卒業です。健康だし、お仕事も充実しているし、年を重ねるごとに幸せ度が増しているのを感じます。

この10年で一番嬉しかったのは、娘と息子がそれぞれ独立して家庭を持ち、3人の孫に恵まれたこと。同級生たちがどんどん「おばあちゃん」になっていくのを見ながら、早く私も「バァバ」と呼ばれたいな、って憧れていました。

とはいえ、おばあさんらしくしなくちゃ、なんて考えたことは一度もありません。私の中には「こうしなくては」というルールはないのです。若い頃からずっとそう。23歳で初めて向田邦子さんにお目にかかった時、「あなた、無国籍ね」と言われてドキッとしました。この人は誰にも縛られたくないという私の気持ちを見抜いている、なんて鋭いのだろうって。