例えば、「今日は何月何日?」と聞くのではなく、カレンダーを見ながら「今日は3月3日、ひな祭りだね」と伝える。(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

でも、私からは、

「試したくなる気持ちはわかりますけど、それはやめませんか」

とお願いしました。

だって、患者さんを試しても、ひとつもいいことないですから。

例えば、若くて健康な方でも、突然「今日は何日? 何曜日?」と聞かれたら、ちょっと混乱しませんか? 健康な方でもそうですから、見当識障害のある患者さんはなおさらです。

そもそも、誰かに試されるなんて、プライドが傷つきます。患者さんにとってはそれだけでもつらいのに、さらに悪いことに、患者さんが答えられないと、試した本人が落ち込むのです。

「こんなこともわからなくなってるなんて。あぁもう、うちのお母さんはダメなんだ」と勝手に深刻になって憂鬱になる。

私からすると、なんでわざわざ自分も患者さんもつらくなるようなことを聞くのかな、と不思議なわけですが……。

これからどうなっていくかわからなくて、ご家族は不安なんでしょうね。