軽犯罪を起こす原因の一つに認知症がある

さて、ここでいま一度、刑務所の中に話を戻します。

入所受刑者のうち、入所時の年齢が60歳以上の者などに対しては「認知症スクリーニング検査」(神経心理検査のひとつ)が実施され、認知症が疑われると判定された受刑者に対して、医師による診察を実施する取り組みを行っています。

認知症が軽犯罪を起こす原因になるとも言われていますので、まずはその検査をして、その後の処遇を決めるのです。

普段、刑務所の中では受刑者は自分たちの居房から工場に歩いて向かいますが、高齢の受刑者の中にはシルバーカー(手押し車)で体を支えて、列の一番うしろをゆっくり歩く人がいるのを何回か見かけました。

もちろん移動の不自由だけでなく、手先の問題があれば工場での作業の内容も限られてきます。

高齢受刑者の処遇の実情として、加齢による体力の減退、疾病率の高さ、新しい技術・能力を身に付けることの困難さなどといった問題があり、各刑事施設においてはこれらを考慮し、その受刑者に合った処遇上の配慮を行っています。