100歳を過ぎてもひとり暮らしを続ける姿が、「人生100年時代のモデル」として注目を集めている石井哲代さん。反響の大きかった前号に続いての登場で、来し方を語ります(構成:野田敦子 撮影:福森クニヒロ)
人生はわからないもの
まあまあ、ようこそおいでくださいました。遠いところからお越しになられて、なんぼか早起きされたことでしょう。『婦人公論』いうたら、昔からありますよね。へえ、私よりお姉さんの107歳ですか。せっかく取材にきていただいたんだから、いろいろ思い出してお話ししましょうね。
もう長い間、小さな畑の守りをしながら、ご近所さんとのおしゃべりに精を出す毎日です。そんな生活が少し賑やかになったのは、今から3年前、100歳のときでした。地元の『中国新聞』で、私の日常を紹介する連載が始まったんです。
といっても、黒豆を炊いたとか、デイサービスに行って歌を歌ったとか、そんな何でもないことばかり(笑)。ところが、たくさんの感想や励ましのお手紙が届くようになって。もう、うれしいやら、びっくりするやら。
さらに今年は、本も出していただきました。まさか、こんなことが自分の身に起きるなんて。人生は、何があるかわからないものですねえ。
本を読まれた皆さんからいただいたお手紙やカードは、玄関の一番目立つ場所に飾って、何度も手に取って眺めたり、読み返したりしています。ほんまにありがたいことです。