3人パーティーの『ドラクエ2』

このように1作目をあえてシンプルなものにしつつ、続編の『ドラクエ2』では初めてプレイヤーが操作する仲間を3人パーティーに増員しました。

パーティーメンバーが増えると戦闘でとれる戦略は一気に高度化しますが、3人のキャラクター付けを、あらかじめ戦士系、魔法系、補助系とわかりやすく固定し、「回復魔法を使えるが打たれ弱い魔法使いを、優先的に回復しよう」「補助系の仲間は攻撃にまわったり補助に徹したり、臨機応変に役割を切り替えよう」など、コマンド選択式RPGの戦闘における「定石」を自然に学んでいける構成になっているのがみごとです。

『国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか』(著:渡辺範明/イースト・プレス)

また、パーティーメンバーが仲間に加わっていく順番も巧みで、最初は前作の初代『ドラクエ』と同じ勇者1人の構成からスタートし、敵が強くなって苦しくなるあたりで2人目が参加します。

その後3人目の加入にはちょっとした謎解きの面白さがあり、3人のフルメンバーでしばらく戦闘の練習をさせてから、いよいよ船を入手して、冒険の自由度が一気に広がる流れでした。

このように、ゲームを拡張していくプロセスが非常に秀逸なため、前作と比べて複雑になったシステムもスムーズに受け入れられたのです。