「ぽっかりと穴があいたような」さみしさ

子どもには、親と精神的に親密な関係が築けていないことを訴える術がない。そもそもそういう概念がない。

さらには、自分の親が精神的に未熟だと理解することも難しい。ただ直感的にさみしさを感じる。それが子どもの経験する孤独だ。精神的に成熟した親のもとでなら、子どもは孤独を感じても、親のそばに行けば、たっぷりの愛情を与えてもらえ、絆を実感できる。

だが、親が愛情を与えることをためらうと、子どもには、安心感を求めたことを後ろめたく思う気まずさが残る。

精神的に未熟な親のもとで育った子どもは、表面的にはごくふつうの大人に成長していたとしても、心の真ん中にはぽっかりと大きな穴があいたままだ。

子どものときにおちいった孤独をずっと抱えたまま進学し、就職し、結婚して子どもを育てている。大人になっても心の中に居座っている孤独感に悩まされるのだ。

『親といるとなぜか苦しい――「親という呪い」から自由になる方法』（著：リンジー・Ｃ・ギブソン、監修：岡田尊司、翻訳：岩田佳代子／東洋経済新報社）
すべての写真を見る