「親が愛情を与えることをためらうと、子どもには、安心感を求めたことを後ろめたく思う気まずさが残る」(写真はイメージです。写真提供:photoAC)

「心満たされる親密さ」とは何だろう

なんでも話せる相手、どんな感情も丸ごと受け止めてくれる相手が自分にはいると信じられること。そんな精神的な親密さがわれわれには必要だ。そういう相手なら、たわいない話をしたり、顔を見合わせたり、あるいはただ黙っていっしょにいるだけでも気持ちが通じ合い、安心して心を開ける。

精神的に親密なら、大いに心は満たされる。本当の自分をみてもらえているという気持ちにもなる。ただし、こうした親密さは、相手がこちらを決めつけようとしているときには生じない。あくまでも、こちらを知ろうとしてくれているときにのみもたらされる。

子どもは、保護者との精神的なつながりがあって初めて、安全を感じることができる。親と精神的にしっかりつながっている子どもは、いつでも安心していられる。

成熟している親は、自分自身をきちんと認識しているので、自分の感情はもとより、子どもの気持ちに寄り添える。

彼らは子どもの気持ちを察し、真剣に受け止める。だから子どもは安心して、なぐさめてもらったり、喜びを伝えたりできる。親は自分といっしょにいることを楽しんでいて、自分の気持ちをぶつけても大丈夫だと思えるのだ。

こういう親は、生き生きとして、バランスがとれ、豊かな感情を持って生活している。いつも変わることなく子どもに気を配り、関心を向けている。つまり精神的に安定しているのだ。