さっそくズンバに行ったところ、頭全体が汗をかいて、動いたら乾いて、実に軽い。

あたしは昔よく着ていたパンクなTure Religionの黒Tシャツをたんすの底から引っ張り出して、ズンバ用に着ている。下は黒いパンツである。

(バレエにもほぼ同じ格好で行ってみたが、チャコットウエアの人々の中であまりに浮いてたので、そしてまだチャコットは買う気にならないので、少しだけドレッシーなバナナリパブリックの黒Tを着てます)

鏡を見れば、けっしてやせてるとは言えない、むしろたくましい体型のあたしが黒ずくめで、膝を曲げ、腰を落とし、腹筋を固めて体幹を保つ。身体の中心を意識して、股関節をひらく。「これは、アレだな」(また! この頃いつも言ってるんです)と思ったのが、ハカ。ズンバというよりハカ。お墓のハカではなくて、ラグビーの、ニュージーランド代表のオールブラックスがおどるアレだ。ズンバ風に腰をくねくねまわすより、腕をぴしゃぴしゃ叩いて舌を出して叫んでる方があたしらしいかも、と思えるようなハカ。

私は死ぬ! 私は死ぬ!
カ・マテ! カ・マテ!
私は生きる! 私は生きる!
カ・オラ! カ・オラ!

夏の終わりに繁茂するガガイモ

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米国人の夫の看取り、20余年住んだカリフォルニアから熊本に拠点を移したあたしの新たな生活が始まった。

週1回上京し大学で教える日々は多忙を極め、愛用するのはコンビニとサイゼリヤ。自宅には愛犬と植物の鉢植え多数。そこへ猫二匹までもが加わって……。襲い来るのは台風にコロナ。老いゆく体は悲鳴をあげる。一人の暮らしの自由と寂寥、60代もいよいよ半ばの体感を、小気味よく直截に書き記す、これぞ女たちのための〈言葉の道しるべ〉。