写真提供◎AC
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第66回は「この瞬間は二度と戻らない」です。

脳の普段使わない部分が歌声に共鳴

現実は、退屈な毎日の連続だ。でも、そんな日々を明るく照らしてくれるような夜に、最近出逢った。

先日、約1年ぶりにちゃんみなのライブに行った。ちゃんみなは私が大好きで、すっかり魂を奪われているラッパー、シンガーだ。

ライブが始まった瞬間から勢いよく心臓を掴まれて、そのあとも驚きと感動が次々に押し寄せ、頭を殴られるような感覚になり、息をつく暇もない。

ちゃんみなの存在は、強烈で眩しく、鮮烈でまばゆい光を放っている。なんとも鮮やかであった。彼女は、直視したら角膜が焦げてしまいそうな強烈なスポットライトが本当によく似合う。

いつも音源超えと言われる彼女の生歌だが、その日は特別すごかった。高音が鋭く、人類が出す声とはとても思えない。脳の普段使わない部分が歌声に共鳴する。脳の中心部分を射貫かれるような感覚になる。甘ったるい声、吐息が漏れるようなささやき、張り上げたときの迫力のある声、がなり声、ラップ。それらを自在に使い分ける。