乳幼児の愛着形成(写真提供:Photo AC)
「自分のことが嫌い」「自己肯定感が乏しい」「周囲にとても気をつかう」それは子どもの時に育まれる愛着がうまく形成されなかったからかもしれません。愛着の問題があると、逆境やストレスに弱くなってしまいます。では、大人になってからでも愛着の形成はできるのでしょうか?精神科医の村上伸治さんが「自己肯定感を育てて、何があってもグラつかない自分になる方法」を教えてくれる『大人の愛着障害:「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』から一部を抜粋して紹介します。

無尽蔵のエネルギーをもつことができる

子どもは3〜4歳頃までに基本的な愛着形成を完成させます。それがじゅうぶんに形成されたかどうかが、その後の人生を左右します。

親子間にじゅうぶんな愛着が形成された人は、心のなかの親から無尽蔵のエネルギーをもらえます。

たとえるなら「原子力潜水艦」のようなものです。原子力潜水艦は、最初に核燃料を入れておくと、船体の寿命が尽きるまでの30年間エネルギーを補給する必要がありません。

つまり、原子力潜水艦は最初から一生分のエネルギーを備えているので途中で燃料が切れることがありません。そもそも「燃料補給」という概念自体が存在しないのです。

同様に、乳幼児期に愛着がしっかりつくられた人は、一生分の生きるエネルギーを蓄えているということです。

心にしっかりと親が内在し、自我が生まれ肯定されると、どんなときでも自分で自分を支え励ますことができます。

愛着形成のサイクルはその人の寿命が尽きるまで回り続け、エネルギーが枯渇する心配はありません。