「寝たきりになってまで長生きしたくない…」そんな不安を抱える高齢者が増えています。2000人以上を看取った在宅緩和ケア医・萬田緑平先生は、【延命より満足、治療より尊厳を】と提唱。必ずしも「医療を拒否する」のではなく、その向き合い方を考えながら、どうやったら最期まで自分らしく幸せに「生ききる」ことができるのか。萬田先生によると、そのヒントは「歩く」ことにありました。著書『棺桶まで歩こう』より、一部を抜粋して紹介します。
「心臓マッサージはしない」「胃ろうはしない」など細かく言い残す
日本人の大半は、日本は「長寿の国だ」と思っていると思います。
たしかに、2024年版の世界保健統計によれば、日本は平均寿命が84.5歳で、世界第1位です。
男女別では、女性は87.2歳で第1位、男性は81.7歳で第2位となっています。このデータだけ見れば、日本はたしかに「長寿の国」ですばらしい……となるでしょう。
一方で、最近「健康寿命」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
「健康寿命」とは、健康上の理由で「日常生活に制限がない期間の平均」です。
「健康寿命を延ばそう」というような新聞や雑誌、テレビ番組のタイトルを、よく目にします。