「穏やかな死」をじゃまするのは、実は家族が多い
もう寿命が来ているのにもかかわらず、点滴や薬を使ってむりやり生きさせる。これは、患者本人にとってもつらいものです。好きなように死ねないからつらいのです。
それでも家族は、「死んでほしくない」と治療を希望する。医師側も、延命治療をする。結託して、患者にとって苦しい道を選んでいるのです。
僕がこれまで見てきた例では、家族がいない一人暮らしの人のほうが、延命治療なしで、つらい思いをせず逝けます。
きつい言い方ですが、「穏やかな死」へ向かう患者の足を一番引っ張るのは、家族です。
本人が口をきけなくても、家族が「母さんは死にたくないと言ってた」と言い張って、延命治療を望みます。