椎名由紀
「ZEN呼吸法」を主宰し、呼吸アドバイザーとして世界で活躍している椎名由紀さん(撮影:本社・武田裕介)
禅由来の呼吸と姿勢の健康法を体系化した「ZEN呼吸法」を主宰し呼吸アドバイザーとして世界で活躍している椎名由紀さん。呼吸法や健康法を軸に、日本文化やライフスタイルを広める活動を国内外で行っています。2023年からは、東京国立博物館で、通常非公開の日本家屋を使い、訪日外国人に向けて定期的に講座・体験会を実施し、また、ギリシアやフランス、ドイツ、イギリス、オーストリア、アメリカなどでも、ワークショップや講座を開催。一方、長野県で自然体験企画も行っています。田んぼや自然の中で合宿し、参加者と一緒に田植えや稲刈り、味噌づくりや餅つきをしながら、五感を活かした呼吸法・自然体験を楽しむプログラムです。そんな椎名さんが呼吸法に出会ったのは約20年前、31歳の時。全身不調だらけの状態から、自身の身体の劇的な変化で姿勢と呼吸の大切さに気付かされます。そして、呼吸を調えるには、「仙骨を立てる」ことが大切と確信、その意義を発信しています。 (構成:岡宗真由子 撮影:本社・武田裕介)

誰も治せないくらい自分の病は重いと思っていた

10代の頃は不調のデパートのような体だった私。高校生の頃から頭痛持ちで、生理痛もひどく、いつも冷えていて、慢性的な便秘でした。ところが不調を訴えて病院へ行っても病名はつかず、「悪いところはありません」と言われてしまうのです。原因がわからず、「不治の病なんだ」と思いこんで、いつも泣いていました。そのくせ体重は増加の一途をたどり、身長161cmで体重は60キロ。ダイエットのため週に2、3回ジムに通い、食事制限をして痩せてもリバウンドを繰り返す日々だったのです。

思い返せば、高校に入り勉強時間が長くなったタイミングで不調が酷くなっていました。中学生の時は部活動で水泳をやっていたのですが、受験を機に運動をしなくなってしまったのが原因かもしれません。当時の私は、お尻をプリっと突き出し胸を張った姿勢でした。骨盤が前傾したその形を“良い姿勢”と思い込んでいたのです。真面目な性格で、自分はいつも頑張っているのに、なぜこんなに不健康なんだろうと自己肯定感もとても低かったのを覚えています。

そんな折、31歳の頃、親しい知人に「頭痛があるのなら呼吸法を試してみては?」と勧められました。「呼吸なんて簡単な方法で治るなら、世の中の病院いらないよね」と内心懐疑的ではあったのですが、呼吸だけなら損をすることもないし、とその呼吸法を実践してみたのです。

教わった呼吸法を始めて、最初の兆候が突然の便通でした。いつも出ないで苦しんでいたのに毎日出るようになって、「これはどういうことだ?」と呼吸法にのめり込むきっかけになりました。当然体重も落ち始め、いつの間にか体温も上がりました。不調のデパートの頃はいつも平均35度台の体温で、健康診断では子宮に腫瘍が二つあるとの診断。あのままの私だったら今頃大病を患っていた可能性も高いです。